世界トップクラスの大腿切断短距離選手が使用する油圧制御膝継手は、構造上の最大屈曲角度が 112°であるため、回復期に屈曲・伸展の制限を弱めた状態にしても、疾走速度の高い健常者スプリンターの回復期における膝屈曲最大角度である140°から150°まで屈曲しませんでした。
つまり、既存膝継手では、健常者と同じような対称動作のスプリント走行の実現は困難であるということです。
そこで、大腿切断者の非対称な走行パフォーマンスを改善するためには、屈曲・伸展の動きに対する抵抗が無く、健常者スプリンターの膝と同じ角度まで屈曲する走行用膝継手が必要であると考え、これを製作して実験を行いました。
(膝継手プロトタイプ1号は自作、2号は今仙技術研究所が製作協力)
大腿義足走行に用いる膝継手の機能に関する研究
http://hdl.handle.net/2241/105030
尚、本論文発表(2010年3月)後に、ドイツOtto Bock社から最大屈曲角度が135°の走行用膝継手(3S80)が発売され、この問題はかなり解決しました。
プロトタイプ1号
プロトタイプ2号